Aさんが初めて塾に来られたのは中2の6月でした。
とてもまじめで素直な性格のAさん。学校の成績は良く、塾に通わなくても十分に勉強を継続できそうだと思いました。
なぜ塾に通おうと思っているのかを聞きましたところ、「精一杯頑張っているけれども、どうしても学年順位で〇番以内に入れない。自己流での限界を感じ、塾に入って殻を破りたい」とのことでした。
体験期間中から塾の宿題を毎日やり、定期テスト前には学校のワークや塾の問題集も解けない問題がなくなるまで繰り返しました。
その甲斐あって、ほどなく目標の順位を突破しましたので本人の努力を大いに褒めましたが、本人は浮かぬ顔をしています。
その理由を本人に聞いてみましたら「私、どうしても行きたい高校があるんです。それは〇〇高校なんです。そこを受けるには定期テストはこのくらい取るのが当たり前なので、これからは模擬試験でも高得点を取れるようにさらに頑張りたい」とのこと。
そこからAさんと私の二人三脚での受験勉強がスタートしました。
定期テスト用とは別に受験対策用の問題集にも取り組み、わからない問題はすべて質問してもらい、終わったら2周目、3周目と繰り返していきました。
中3に進級し毎月のように北辰テストを受ける中、目標の偏差値に届かないこともありました。夏休みも毎日7時間、塾で勉強しました。でもAさんは弱音を吐かず、目の前の課題を黙々と進めていきます。
中3の2学期となり、塾で通常用意しているすべての問題集を解き終えたAさん。私から「全国の入試問題の過去問を北から順番に解いてみる?」と打診したところ、「ぜひやりたい」と即答。その日から、5教科すべてについて北海道の入試問題から順番に解き進めました。
公立高校の入試問題と言えども、正解率が1%に満たないような難問も含まれています。Aさんはすべての問題についてわからないときにはわかるまで徹底的に質問をしてくれました。時には、解答が間違えていることもあり、それを出版社に連絡するということもありました。それくらい徹底して問題に正面から向き合いました。
そして迎えた入学試験日。やれることはすべてやり切ったという自信とともに、Aさんは試験会場の〇〇高校に向かいました。
結果は見事に合格。
合格を報告しに来てくれた時のAさんは、それまでに見たことのないくらいの笑顔でした。私は長期にわたるAさんの努力を傍らで見てきましたので、本当にうれしく思いました。
その時に聞いた話ですが、Aさんは複数の塾を検討していたとのこと。「でも集団塾は雰囲気になじめず、普通の個別塾はずっと横に先生がいるので、かえってやりにくい。マイウェイは必要なときに必要なサポートをしてもらえる環境だったので、Aさんには合っていた」そうです。
1年半にわたるAさんの指導を通じて、私はあらためて目標に向けて努力を継続することの大切さを学ばせていただきました。そして何よりも多くの後輩たちがAさんの背中を見て、同じように頑張ってくれていることに対して、心より「Aさん、合格おめでとう!そしてありがとう!」とお伝えしました。
Aさんが卒業して数年経ちますが、Aさんのように真摯に努力を継続する生徒さんが今もたくさんいます。それらの生徒を見るたびにAさんを思い出しています。